沖縄・名護市にあるキャンプ・シュワブの海岸 (c)朝日新聞社
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 4月23日に投開票された沖縄県うるま市長選をめぐり、自民党の古屋圭司選挙対策委員長が告示日に自身のフェイスブック(FB)で、野党系候補の公約を「市民への詐欺行為にも等しい沖縄特有のいつもの戦術」と発信した。

 これを、「沖縄」に対する蔑視ではない、と突っぱねるのは無理があるのではないか。

「本土」でも報道されたが、批判の声は盛り上がらず、むしろ古屋氏に同調する一団が勢いづいたのが実情だろう。こうした展開には既視感がある。

 沖縄本島北部の米軍北部訓練場の部分返還と引き換えに整備された、高江(沖縄県東村)の米軍ヘリパッドはさまざまな疵を残した。とりわけ深く県民に刻まれたのは、反対運動の現場に派遣されていた大阪府警の機動隊員が、市民に向かって「土人」「シナ人」と発した昨年10月の出来事だろう。

 沖縄タイムス記者の阿部岳は「発言後の展開も、発言自体と同じくらい、今の日本を象徴していた」(『越境広場』3号)と嘆く。松井一郎大阪府知事はツイッターで「出張ご苦労様」と機動隊員をねぎらい、鶴保庸介沖縄担当相は国会で「差別であると断じることは到底できない」と言い張り、政府は閣議決定した答弁書で問題はないと擁護した。その結果、「政府の公式見解で、差別発言はないことになった」。

 阿部は「高江の現場で『安倍政権を倒す』という言葉を聞くたびに、違和感を覚えた」ともつづる。理由はこうだ。「安倍政権の所業は確かに目に余る。だが、それを本土の多数が選挙で繰り返し正当化し、お墨付きを与えている。たとえ何かの拍子に安倍政権が『打倒』されても、本土全体が一歩でも半歩でも変わらなければ、次の政権が同じことを始めるだけではないか」

 沖縄を封じる「壁」は幾重にも広がる。「本土」の人間として高江の「座り込み」の現場に通った映像作家の古賀加奈子はこう告白する。

「私自身は、沖縄の歴史と人々の思いを知るにつれ、『加害者の日本人』としての自分にも苦しむようになっていった。主語が変わると歴史は変わる。歴史認識の違いを、沖縄の人は良く知っているけれど、たいていの日本人は知らない。そのことが対話をこばみ続け、問題解決の糸口を見えなくしているように思う」(『越境広場』3号)

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