「安倍首相ガンバレ」を叫ぶ子どもたち、教育勅語を朗唱させる幼稚園……。森友学園問題に端を発して「右翼」という人たちが、にわかにクローズアップされている。AERA 2017年5月1-8日号では「右傾化する日本」を大特集。「右翼」って何?「保守」とどう違う? 素朴な疑問に答える。
メディアの右傾化はどうなのだろうか? 東京MXテレビ問題を始めとした、最近の動きを取材した。
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3月下旬の日曜日。都内で「東京MXテレビ問題の本質」と銘打つイベントが開かれた。真冬の寒気が押し寄せる中、会場は立ち見を含む参加者で埋まった。
この日、主催者を代表してあいさつしたのは、保守系ウェブ局「日本文化チャンネル桜」沖縄支局キャスターの我那覇真子氏。沖縄出身・在住で「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表の肩書も持つ我那覇氏は、全国各地の保守系イベントに引っ張りだこだ。
我那覇氏は屈託のない表情で用意した原稿を読み上げた。
「辛淑玉氏は寝た子を起こしました。われわれにとって大きなチャンスなのです。彼女の日ごろの“反日傲慢”はとんでもない墓穴になりそうです。自ら掘った穴ですから、きっと収まりもよいかもしれません」
むき出しの憎悪。にもかかわらず、会場にどっと笑いがどよめく。観衆は中高年が多い。
●反対運動を「テロ」
続いて登壇したのは、「科学者」の武田邦彦氏。「ニュース女子」にコメンテーターとして出演していた武田氏は、番組で取り上げた沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設現場での反対運動についてこう言った。
「やっぱり暴力的ですからね。簡単に言えばテロですよ、あれは」
会場から「そうだよ」の声が飛ぶ。武田氏は沖縄の独立運動にも言及した。
「いまもし沖縄が独立したらね、あっという間に中国領になりますよ。沖縄の方には申し訳ないんだけれども、20万人は殺されますね。中国の占領政策というのは5%殺しますからね」