前列右から、木村伊兵衛や岡村昭彦なども愛用した名機の誉れ高い、製造番号118万番台のライカM4と、ドイツ軍が使っていたという軍艦部に段がついたライカIIIc。後列はキヤノンダイアル35、父親が愛用していたプリモフレックス、キヤノネットQL17、ライカM4。さらにハッセルブラッド、ローライ、コンタックスなどコレクションは50台を超える
前列右から、木村伊兵衛や岡村昭彦なども愛用した名機の誉れ高い、製造番号118万番台のライカM4と、ドイツ軍が使っていたという軍艦部に段がついたライカIIIc。後列はキヤノンダイアル35、父親が愛用していたプリモフレックス、キヤノネットQL17、ライカM4。さらにハッセルブラッド、ローライ、コンタックスなどコレクションは50台を超える
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琵琶湖の花火大会を宿泊した湖畔の高層ホテルからライカM6にズミクロン90ミリ、三脚を立て窓ガラス越しに撮影。最上階近くからなので見上げるのではなく、大津市の街明かりを背景に下に水面が写り込んだ珍しい花火写真となった(以下同)
琵琶湖の花火大会を宿泊した湖畔の高層ホテルからライカM6にズミクロン90ミリ、三脚を立て窓ガラス越しに撮影。最上階近くからなので見上げるのではなく、大津市の街明かりを背景に下に水面が写り込んだ珍しい花火写真となった(以下同)
親方の愛犬、97%シベリアオオカミというウルフドック。さすがに精悍な顔つきをしている
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――カメラ趣味のきっかけは何ですか

 親父(元大関・先代増位山)が、現役時代から相撲専門誌に写真を提供するほどのカメラ好きでね。戦時中の旧満州(中国東北部)、朝鮮巡業などもたくさん撮っています。優勝賞品にはドイツ製カメラがあったそうですよ。家の中にいつもカメラがある環境でしたから、ぼくもライカという言葉を早くから知っていた。小学校1、2年くらいのとき大阪場所についていって、奈良でこのプリモフレックスで撮られたのを覚えています。親父は撮るのが好きで、しょっちゅう撮影していました。

――コレクションはライカからですか

 子どものころはおもちゃカメラ、それからキヤノンダイアル35やキヤノネットQL17などを使っていました。自分でほしいと意識して買った最初のカメラは、ニコンF2フォトミック。入幕した後だから昭和47(1972)年くらいだったかな。当時の一眼レフの最先端だからね。ライカは現役最後の昭和55年くらい、M3でした。やっぱりあこがれるじゃないですか。アサヒカメラとかでいろんな評論家の記事を読んでると、すばらしいカメラだと。実際、むだを省いてシンプル。完全にマニュアルだから露出とシャッターとピントさえ合わせればきちんと撮れる。難しそうだけど簡単なんだよね。カメラは機能美へのあこがれですね。ライカはM4とM3が3台。それにM2、M5、M6、さらにRやSL、IIIcなど20台くらいある。けっこうカメラ屋さん巡りをしましたよ。銀座、大阪はほとんど。昨日もスキヤカメラに(笑)。アサヒカメラも後ろのカメラ屋の情報が楽しい。相場を見たりね。

――同じ機種を3台も?

 最初きれいなのを買うでしょう。すると保存状態を保ちたくて使えなくなっちゃう。使うともったいないと思う。それで、ちょっと程度が落ちるやつを買う。それがまた使えなくなるんです。(笑)

――ライカM4の製造番号118万番台は超お宝ですね

 118万番台のブラックペイントに限って、つり金具のブラックコーティングが許されている。使っているうちにだんだんつやが出てきて、きれいでしょう。超レアなんだよ。雑誌で、そう解説されている記事を読んでね。

――ほしくなった?

 いや、すでに持っていた。だから記事を読んで、保存ケース内の置く位置が変わった (笑)。それまでは、リペイントだと思っていたからね。でも逆に、リペイントでこの部分を塗るのはすごく難しいそうです。

――調べたりするのが好きなんですね

 好きですね。最近すごいと思ったのは、ニコンLマウントの50ミリF1.4レンズの描写力。ライカM6につけて撮ったんだけど、細かい枝先までびっしりシャープに写るんです。それまでライカのレンズで撮っていたからびっくりしちゃった。朝鮮戦争報道で世界中を驚かせたレンズ。何十年かたって、おれもびっくりした。そうなると、今度は使えなくなる(笑)。もう一本、きれいなのを取っておきたくなる。ニコンLレンズは保存しておいて、ライカのレンズをつけたりして(爆笑)。

 団塊の世代だからね。学校だって競争だったし、趣味も競争してるようなところがある。雑誌を読んでいて、「こいつ、こんなの持ってる」とか、他人が持っているカメラが自分も負けずにほしくなる。競争したくなるんです(笑)。レンズも手に入れたら描写を確認したいから撮る。被写体をどう表現するかより、機能や描写力を点数に換算してるんだよね。親父の世代みたいに撮影を楽しむ趣味とはちょっと違うかもしれない。撮りたいより、カメラを持ちたいんだよね。

※このインタビューは「アサヒカメラ 2006年3月号」に掲載されたものです