赤井さんの事務所スタッフらと計7人で連日、空き店舗で水やりや霧吹きなどを繰り返したが、それでも使えたのは約700本。当日は朝から会場での飾り付けにあたったが、作業が業者や美術館側に伝わっていないなどの対応に追われた。飾り付けが終わったのは、招待客が来場する直前だった。
ただ、一番の難関とされた日本からの輸送はうまくいった。植物の検疫が厳しく、虫が一匹でも出れば全ての枝が燻蒸(くんじょう)処分となるフランスに直輸送する計画をあきらめ、オランダ経由に変更。世界有数の花の国だけあって、航空会社も輸送業者も花の扱いに慣れており、輸送中の温度管理や輸送後の水やりもしてくれた。予想以上に良い状態で桜が輸送できたという。「色々と起きて大変だった。でも、最後はうまくいった」と赤井さん。「花は世界の共通語だと改めて実感した」と手応えを話した。
(編集部・山本大輔)
※AERA 2017年4月24日号