SF作品に多大な影響を与えた「攻殻機動隊」を、映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」でハリウッドが実写映画化した。主演のスカーレットヨハンソンが来日。蜷川実花の撮影によりAERA 2017年4月10日号の表紙に登場した。
「私、節約も貯金もしないの。お金があるのにケチな人は許せない」(スカーレット・ヨハンソン)
高額ギャラ番付上位の常連だが、給食費が払えずに公的支援を受けるという家庭で育った。今は「できるだけ寛大でありたい」とチャリティーにも熱心だ。
* * *
スツールにちょこんと腰かけ、飛び交う日本語がわからずヒソヒソと通訳女性に尋ねる記者会見での姿がキュート!
そうかと思うと表紙撮影では、シャープなアゴにショートカットがりりしい。このゴージャスとキュートのアンバランス感で映画界の「チョイ面倒くさい親父」ウディ・アレンやショーン・ペンを転がしたんだなぁ、と納得してしまった。
「ロスト・イン・トランスレーション」で無愛想でこびないのが新鮮だった頃は10代。32歳のいまはハリウッド王道の大女優だ。2016年には「世界で最も興行収益を上げた俳優」に君臨するなど、大ヒット作への出演が続く。
私生活を公開することを嫌うので素顔が見えにくいが、生粋のニューヨーカーらしく公の場での発言はストレートだ。負けず嫌いを公言し、若い女性への人生指南を求められると、
「失敗を恐れずあえてリスクをとる。私のキャリアもリスクをとったおかげよ。思うようにいかないことも山ほどあったけど、失敗から学んだものは大きい」
トランプ大統領就任式翌日の反トランプウィメンズマーチでも、妊娠中絶というプライベートな問題が政治の場で語られる危険性を訴えた。
新作「ゴースト・イン・ザ・シェル」で「自分は何者か」と模索するサイボーグを演じ、「きつかったけれど人間として成長できた」と話す。具体的な成長について聞くと、一瞬ガードがゆるんだ。
「この5年くらいかな、仕事でこれは違うと思ったり恥をかいたり、自分の弱さを思い知らされることが多くて……そういう思いをどう役作りに生かすか考え込んだりしてた。でも今回の作品を見たら、あ、できてたって思えて……」
撮影の前後に出産と離婚を経験している。早くから自活し、自信を持って我が道を貫く彼女がのぞかせた危うさ。しつこいですが、そりゃモテるわ。
(ライター・鈴木あかね)
※AERA 2017年4月10日号