ドナルド・トランプ米大統領がニューヨークに所有するトランプ・タワー。トランプ氏の成功の象徴とも言われるあのビルに、暮らした日本人がいる。
トランプ・タワーは米ニューヨーク・マンハッタンの5番街にそびえる高さ202メートルの超高層商業ビル。上層階には世界的セレブが数多く暮らすとされ、家賃は月額700万円ともささやかれる。だが、その実態はあまり知られていない。
ビューティープロデューサーのアケミ・S・ミラーさんは、トランプ・タワーに暮らした数少ない日本人だ。
1980年代、モデル学校の経営やきもののデザイナーとして成功。89年に渡米し、90年にニューヨークコレクションにデビューした。そして94年、後に夫となる弁護士の米国人男性と共にトランプ・タワーで暮らし始めた。「成功したらトランプ・タワーに住みたい」と言っていた彼に不幸な出来事が続き、元気づけたいと思ったという。
●トランプ氏は倹約家
「不動産会社から高層階に空きがあると知らされ、マンハッタンの地形が見渡せる絶景に魅了されました。入居の交渉をするには、プライベートバンクに3ミリオン(約3億円)以上の預金が必要でした。何とか彼を喜ばせたくて、入居を決めました」
隣にはジャネット・ジャクソン、もう片方の隣にはサラ・ブライトマンが住んでいた。
「家賃は700万円もしませんよ。数百万円くらい(笑)。私の部屋は200平方メートルほどの2LDKで、バス・トイレが二つ、ゲスト用のパウダールームが一つ。ドアや柱の梁、サッシなどはゴールドで、窓が開けられない代わりに24時間マイナスイオンが出る仕様でした」
最上階の3フロアには、トランプ氏自身が家族と共に住んでいた。
「あいさつ程度の関係でしたが、意外と倹約家。居住者専用入り口には高級リムジンがズラッと並ぶのですが、ある朝、古いキャデラックみたいなリムジンが止まっていた。色もくすんでいて、誰が乗るんだろう、と思っていたら、『ハーイ』とトランプ氏が乗り込んでいったのでびっくりしました(笑)。何度か同じ場面を見ましたが、パーティーには豪華なストレッチリムジンで出かけていたので、使い分けていたのでしょうね」