大統領令への抗議活動の広がりとは裏腹に、トランプ米大統領の支持率は下がらない。民意が激しく対立するとき、大統領をチェックするのは司法と議会。機能するのか──。
「連日、反トランプ報道の嵐で、さすがに嫌気がさす。クーデターで権力を得た独裁者のような扱いぶりだ。問題のある言動は確かに多い。それでも正当に選ばれた大統領なんだ」
米国の大学で一緒に国際政治を専攻していたイタリア系アメリカ人の友人(44)とスカイプで話をしていたら、いつもは冷静な彼がめずらしく熱くなった。
熱心な共和党支持者だが、「トランプ氏はもともと、民主党支持者だった」として、共和党の大統領候補になることには反対していた。「下品なツイートにはあきれる。ツイッターは閉鎖するべきだ」との主張は変わらない。それでも、と彼は言う。
「大統領になった以上は、トランプ氏にチャンスを与えるべきだ。本当にダメだった時は、選挙で代えればいい。それが民主主義ではないのか」
難民や中東・アフリカ7カ国の国民の入国を一時禁止した米大統領令をめぐり、トランプ政権は各国政府や国際機関、グローバル企業のリーダーらから非難を浴びている。市民レベルの抗議行動は世界中に拡大、メディアもトランプ批判を繰り返す。米国司法が大統領令を差し止めるなど、トランプ氏は急速に求心力を失い始めている──。
そう現状認識を説明したら、友人は苦笑した。
「メディアに毒された見解だ。本当にそうなのか。ならば、なぜ支持率が上がるんだ」