●感情的になってもダメ

 1月末に米報道機関ポリティコが行った世論調査では、支持率は49%。就任直前に米CNNが出した40%、就任直後に米調査会社ギャラップが出した45%との単純比較では、上昇傾向にあるように見える。ただ、ポリティコによると、報道など9機関が同時期に個別の世論調査をしており、支持率は36%から54%の範囲で差が出ている。9機関の平均は45%となり、少なくとも「支持率が全く下がっていない」とは言える。

「いまは自分も、消極的なトランプ支持者の一人」という友人の「トランプ敵視ありきの見解は一方的で説得力に欠ける」という指摘にはうなずける。

 正当な選挙手続きによって民主的に選ばれた大統領を、気に入らないからといって「彼は私の大統領ではない」「得票総数で負けた」などと批判するのは、選挙制度の否定そのもの。攻撃的で粗野な言動や挑発的な政策は、よくも悪くもトランプ氏に一貫しているもので、大統領就任後に豹変したわけではない。その部分も含めて、国民の審判を受け、トランプ氏が大統領選に当選したという事実は重い、というのが彼の理屈だ。

 反トランプ運動が民主的な手続きを否定し、国民の分断を助長しているように見えて、逆にトランプ大統領を応援したくなるのだという。

 見えているものが全く違うので議論は平行線だが、彼の主張には矛盾がないとも感じた。反トランプ運動がトランプ氏個人への嫌悪感の表明ではなく、米国の伝統的価値観や民主主義的信念を守るための運動であると広く認識されない限り、どっちもどっちの終わりなきののしり合いが続くだけなのだろう。

 一つ、気になることがある。

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