時代とともに言葉が生まれ、意味が移り変わっていくのは日本語も英語も同じ。それなのに、英語は高校や大学で学んだまま。この言い方で、ちゃんと伝わっているんだろうか……。そんな不安を抱えているあなた。単語選びやちょっとしたあいづち、発声で、あなたの英語は見違えるのだ。AERA 2017年2月6日号は、SNS時代に生まれた新しい単語、名スピーチに共通の「心を動かすポイント」と共に、「惜しい」英語からの脱却法を特集している。ビジネスの現場でなかなか英語での会話が続かないのはなぜなのか? その理由と対策を取材した。
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英語で書かれた研究論文は読める。この前の展示会では、専門用語も交えつつ、自社製品をうまくプレゼンできた。
それなのに双方向の「会話」になった途端、英語が出てこない。相手の言うことは理解できるし、あいづちも打てるのに、その先に言葉をつないで会話を転がしていくことができないのだ。
「ああ、もどかしい!」
総合化学メーカーの東ソーで主任研究員を務める松丸慶太郎さん(36)が悶々とするこの「惜しい」感じ。覚えのある人は多いのではないか。
松丸さんを含む東ソーの中堅社員5人が受講した、アルクによる英語研修を取材した。
●筋道を立てて話す訓練
5人ともTOEICは800点前後だが、会話に関しては同じ壁にぶちあたっていた。3月からは留学を控えているという彼らがまず取り組んだのは、「although(しかし)」や「unless(もし~でなければ)」「in fact(実は、それどころか)」などの接続の言葉を使って、文章をつないでいく訓練だ。
「値段はちょっと高いですが、性能は一番です」
「2月15日までに代金を払っていただかない限り、新たな製品の供給はストップします」
といった具合。受講生の一人が「in fact」を使って、
「この工場はとても新しい。実はロボットを使っています」
という例文を作った時、講師のクレア・ウィリアムズさんが首をひねった。
「工場が『新しい』のと『ロボット』は関係ないですね。『先週オープンしたばかり』ならいいのでは。工場が『先進的』なら『ロボットの数が人間より多い』などがつながります」
クレアさんは言う。
「会話を展開していけないのは、英語中級者に多い『惜しい』ポイント。ロジカルスピーキングの力が弱いことが原因です」
筋道を立てて話す訓練が足りないということらしい。