●検索の評価は質より量
もっとも、Webライターで2千字1千円は「業界水準」だ。ランサーズなど大手クラウドソーシングサイトに掲載されている案件を見ると、1文字1円以下の案件が大半を占める。求められるのは、質より量。なぜ、こうした記事が必要なのか。
背景にあるのは、ネットの検索結果で上位に表示されるように仕掛ける検索エンジン最適化(SEO)対策だ。英NetBoosterの調査では、検索順位が1位のクリック率が19.35%なのに対し、1ページ目の最下部10位だと2.82%。検索に詳しいSEM総合研究所の渡辺隆広所長はこう話す。
「グーグルのアルゴリズム(計算方法)が評価するのは情報量、更新頻度、ユーザーが求めるキーワードが入っているかどうか。検索順位を上げるには、たくさんのコンテンツを継続して作る必要がある」
ただ、渡辺さんは「グーグル側にコンテンツの中身まで精査する能力はない」と言い、こう続ける。
「コピペで作った記事でも、1次情報がよければ、価値あるコンテンツとして評価される」
とはいえ、WELQの騒動により、ランサーズがリライトに関するガイドラインを更新するなど、著作権に対する意識は強まった。ガイドラインを守り、かつ量産もできる優秀なWebライターを確保しようとする動きも強まっている。だが、クラウドワークスの決算資料によれば、月収20万円以上を稼ぐのは1%以下。学生や主婦の副業レベルの報酬でそんな書き手を集められるのか。
『Webを活用して副業ライターで稼ぐ』などの著書のあるしげぞうさんはこう指摘する。
「クラウドソーシングサイトを通すと手数料を払う必要がありますが、実績を積めばクライアントから直接声がかかるようになります」
●AIなら1記事1分
直接受注になれば文字単価は5円以上上がり、月収40万円も見込めるようになるという。冒頭の男性は月間180本近い原稿を書き、「平均すると月に80万円程度の収入はある」と話す。