アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回ははせがわの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■はせがわ 調布店 店長 中島健(36)
より大きく、より立派なものを。仏壇といえばこれまで、きらびやかな装飾を施し、自分の背丈以上もあるような漆塗りのものが、多くの家庭で求められてきた。
しかし今や、部屋のインテリアに溶け込むような仏壇が求められる時代になっている。伝統的な仏壇が得意のはせがわも、モダンなインテリアとしてコーディネートできるような木製の仏壇を、家具会社「カリモク家具」と共同で開発。コンパクトなものを始め、時代のニーズに合わせた仏壇もそろえている。
東京・調布店は「リビングスタイル店」というコンセプト。店内にはソファやテーブルが置かれ、リビングにいるような感覚で仏壇を選べる。今回の撮影では、「リビングでリラックスしているような写真を」という注文に、店長の中島健が自宅からDVDやCD、ガンダムのプラモデルなど、お気に入りのコレクションを持ってきてくれた。
「家では、たまにガンプラ見ながらニヤニヤしちゃいます(笑)」
和光大学経済学部経営学科(当時)を卒業。高校3年から大学卒業まで、ヘヴィメタのバンドでドラムをたたいていた。2002年、はせがわに入社。仏教徒でも、仏壇のある家に育ったわけでもないが、はせがわの社風と、「お客様に買っていただいた後もご縁ができていく」ことが決め手になった。
6年ほど前に聖蹟桜ケ丘店で店長に。昨年5月、調布店のオープンに合わせ、異動した。5人のスタッフとともに店を切り盛りする。
仕事のモットーは「プライベートの充実なくして、仕事の充実なし」。スタッフの公休、有休の希望は積極的に聞くようにする。
「仕事も大事ですが、友人や親戚などと縁が切れないほうがいいと思いますので」
中島自身も、休みにはテニスを楽しむ。
「供養のこれからのあり方をつくり、ここから発信していきたい」
時代が変わっても、人が誰かを悼み、祈る気持ちは変わらない。
(文中敬称略)
(編集部・大川恵実)
※AERA 2016年10月10日号