右肩上がりの時代なんてもう来ない、という話をよく聞く。本当にそうなのだろうか? 実は身近に、30年にも及ぶ「どん底」から抜け出して絶好調を迎えている業界がある。日本映画だ。2016年の日本映画界は、「君の名は。」「シン・ゴジラ」を筆頭にメガヒットが次々に生まれた。「なぜか」を取材してたどり着いたのは、小さな決断を積み重ねた末の5つの大きな決断。「AERA 2017年1月2日・9日合併号」では、その決断の一つ一つがどうなされたのかを徹底取材。ロケツーリズムや監督と俳優の人脈図など、「日本映画」を大特集。その中から、2017年1月28日から全国で公開される「恋妻家宮本」で、3度目の共演となる阿部寛と天海祐希の対談を紹介する。
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意外にも、映画では初の夫婦役だという。しかも、テーマは離婚だ。安定感あるふたりの共演で、大人による大人のための映画が生まれた。高視聴率脚本家として知られる遊川和彦が初めて手掛ける映画としても注目されている。
──最初の共演のことは、覚えていますか?
阿部寛:天海さんが俳優デビューされた頃、端役で出していただきました。まぶしかったね。その何年か後に時代劇で恋人役をやったんだよね。
天海祐希:1999年の「必殺! 三味線屋・勇次」。私が、殺された阿部さんの仇を取る役で。
阿部:お互い悲惨な死に方をするんだよね。僕は生首にされて、天海さんは焼身自殺……。
天海:違う違う、餓死よ、餓死。
阿部:えっ!? それはすごい(爆笑)。
天海:今回、晴れて夫婦になりました(笑)。映画のテーマでもある「大切なことは正しいことよりもやさしいこと」というセリフは印象的でした。