沖縄防衛局によると、研修は15年度48回、14年度42回、13年度42回、12年度42回、11年度40回。15年度は合計1931人の自衛官が参加している。その内容を見ると、「沖縄に所在する米軍の概要」といった米軍の説明を受ける研修もあるが、「特殊作戦」や「水陸両用作戦」など実戦的なものも多い。


住民自治揺るがす

 15年8月にうるま市沖で墜落した米軍ヘリには、15日間の日程で研修に参加していた陸上自衛官2人も同乗し、けがをした。「研修」が実質的な日米共同訓練の場になっているのだ。

 共同使用や研修が行われているキャンプ・ハンセンがある金武町の元町長で、その後県議も務めた吉田勝廣さん(71)は、町内で頻繁に自衛隊車両を目撃するという。

「基地は米軍に提供しているのであって、自衛隊が頻繁に使っていることはおかしい。基地機能の強化にほかならない」(吉田さん)

 ただでさえ米軍の演習が過密状態にある沖縄の米軍基地を自衛隊も使うことで、本土との基地負担の格差はさらに増す。さらに自衛隊による米軍基地の使用が進めば、将来米軍が沖縄から撤退したとしても、自衛隊が継続使用する可能性が高い。吉田さんは次のような懸念を抱く。

「小さな町に多くの自衛官が住めば、数年で異動する彼らが選挙で町の未来を決める力を持つ。それは自治の破壊を意味する」

 実際に人口1500人を切っていた与那国町は、陸上自衛隊が配備されて人口が約200人も増えた。与那国の自衛隊問題に詳しい中京大学の佐道明広教授(安全保障論)も指摘する。

「本土では自衛隊の配備は安全保障や防衛の視点から語られるが、人口減が進む地元の人たちは経済や地域振興を理由に誘致した。3年前の町長選は47票差だったが、今後は人口の1割以上が自衛隊関係者で、島の未来を自衛隊員が握る。自衛隊配備は住民自治の問題でもある」

 国と地元の思惑がずれたまま沖縄全体が「軍事の島」に染められようとしている。(編集部・深澤友紀、渡辺豪)

AERA 2017年1月2-9日合併号

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