事故原因となった空中給油機は米空軍嘉手納基地所属のMC130だった。米海兵隊所属のKC130空中給油機は今夏、「沖縄の負担軽減」のために沖縄の普天間飛行場から山口県の岩国基地に移転されたが、頼さんは言う。

「沖縄は訓練できる空域が広い。オスプレイが運用される辺野古新基地や東村高江のヘリパッド建設が進む中、沖縄の負担が軽減されることはないだろう」

 12月22日には米軍北部訓練場が一部返還された。沖縄に基地が集中する割合は74.5%から70.6%に。だが、頼さんが指摘するように、返還条件としてオスプレイが訓練に使用するヘリパッドが東村高江の集落近くに造られ、負担軽減には程遠い。

●離島で進む陸自配備

 ただでさえ過大な沖縄の基地負担だが、実は米軍の話だけではない。沖縄では自衛隊基地の新設・強化も着々と進む。

 2016年3月、日本最西端の与那国島に陸上自衛隊の沿岸監視隊が発足し、約160人の隊員が配置された。1972年に沖縄が日本に復帰して以降、県内に新たな自衛隊施設が造られるのは初めて。中国を念頭に置いた南西地域の防衛態勢強化の一環で、防衛省は、石垣島や宮古島、鹿児島県の奄美大島にも配備を計画し、新たに陸自隊員が2千人程度増える見込みだ。

 沖縄では離島への新たな自衛隊配備以外にも、10年3月に陸上自衛隊第1混成団が旅団に昇格し、隊員も300人増へ。16年1月には航空自衛隊那覇基地に第9航空団が置かれ、F-15戦闘機部隊が1飛行隊から2飛行隊に増強された。この沖縄での自衛隊強化について、軍事評論家の田岡俊次さんはこう話す。

「冷戦時代、もっぱらソ連軍の北海道侵攻に備えることを存在意義としていた陸上自衛隊は、91年のソ連崩壊で直接的な脅威がなくなってしまった。一方、90年代は台湾の独立を阻止しようとする中国がミサイルを発射するなど中台危機が起き、自衛隊は南西諸島の防衛に存在理由を見いだした。自衛隊は自分の組織防衛をまず考える、文字通りの『自衛』隊になっている」

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