沖縄の反基地運動のリーダーが10月以降、3度にわたって沖縄県警に逮捕、勾留され続けている。「強権発動」の背景に何があるのか。
11月29日正午すぎ、那覇市内の沖縄平和運動センターで沖縄県警の家宅捜索が始まった。
「まさか1年近く前の抗議行動の立件に動くとは思いませんでした」
家宅捜索に立ち会ったセンターの大城悟事務局長は容疑事実を聞いて耳を疑ったという。
今年1月下旬、新基地建設が進む名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前でコンクリートブロックを積み上げ、工事車両の資機材搬入を妨害した容疑だったからだ。県警は家宅捜索とともに、ブロックの設置指示などの主要な役割を担ったとして、センターの山城博治議長を含む男性4人を威力業務妨害容疑で逮捕した。辺野古や東村高江での反基地運動を牽引してきた山城議長の逮捕は10月以降、3度目となった。
●反対運動の弾圧が目的
山城議長の逮捕、勾留の経緯を振り返ろう。
ヘリパッド建設が進む高江の米軍北部訓練場への侵入防止用の有刺鉄線を切断したとして、山城議長が器物損壊容疑で現行犯逮捕されたのは10月17日。那覇地検は勾留請求したが、那覇簡裁は同月20日朝に却下。これを受け検察側は即日、那覇地裁に準抗告する一方、県警は同日夕、高江での別件の公務執行妨害と傷害の容疑で山城議長の再逮捕に踏み切る。那覇地裁が器物損壊容疑での勾留を認める決定を下したのは、再逮捕後の20日夜だった。
警察は一般的に勾留満期で再逮捕する。2回目の逮捕は、山城議長の勾留請求が却下されると見越して再逮捕した可能性が高く、長期勾留への捜査機関の執念がうかがえる。
2度目の逮捕の翌21日、県警は高江の反対派市民が使うテントと山城議長の自宅を家宅捜索したが、押収物はゼロだった。山城議長の弁護団の三宅俊司弁護士は「自宅やテントに傷害や公務執行妨害の証拠などあるはずがない」と指摘。3度にわたる逮捕についても「さみだれ式に事件を広げ、逮捕者や捜索先を増やしていく捜査手法は、反対運動の弾圧が目的なのは明らかです」と批判を強める。