ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 久々にトランプネタから離れましょう。

 人口減少、少子高齢化の日本では経済成長ができない、ということは絶対にありません。私は日頃から、日本の人口なんて増えるわけないし、まして地方からの人口流出なんて絶対に止まらない、とか言っているもんですから、「日本経済の成長はないって考えているんですね」とよく言われます。が、トンデモナイ! 日本経済は人口減少の中でも成長し続けるのですよ。

 まず、日本の人口が減るといってもいまだに1億2千万人がいて、20、30年たっても1億人はいるわけです。フランスの倍近いですよ。マーケットとしては有力な規模で商売は十分に成り立ちます。

 そして、人口が減るということは、それに見合う供給も少なくて済むということです。無駄なことをしなくてよろしいということでもあります。これは経済効率という面から見ると素晴らしいこと。少なく生産してもそれで満ち足りるなら結構な話ではないですか。

 ただし、こういう需要が限定的な世界では、大量生産を繰り返す工業的生産物は需要者(生活者)のニーズにはほぼミートしない。要するに、これまでのように大量生産して、テレビなどのメディアでコマーシャルを打っていれば済むような極めて単純なビジネスモデルが成り立たなくなるのです。シャープやパナソニックの不振もこの文脈で語れますし、若者の車離れも同じような現象と見られます。

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