
あのゴーストライター騒動からもうすぐ3年。一躍「時の人」となった音楽家の新垣隆さんが、名門レーベルから「世界デビュー」する。
今夏に完成した新垣隆さんの新作交響曲「連祷─Litany─」が11月16日、クラシックの世界的名門レーベル「Decca」から世界配信される。バラエティー番組やCM出演など、多角的な活躍を見せる新垣さん。一方で本来の作曲家としてのキャリアを着実に歩み続けている。
作品のテーマは「ヒロシマ」と「フクシマ」。広島への原爆投下から東京電力福島第一原発事故までの「戦後という時間を記憶にとどめる一つの方法として」(新垣さん)、今作の構想を練った。
「音楽のスタイルとしては、ある種普遍的な形式のものです。いまはグローバル化したなかで、それぞれの国が音楽的な言語のひろがりを持っている。その日本におけるひとつの例、という形になるかと思うんです」(新垣さん)
表題曲はキリスト教の祈りのかたちを意味する。
●徹子さんも応援
このテーマに関しては、2008年、「交響曲第1番」というタイトルでゴーストライターとして書いた曲が後に「HIROSHIMA」と改題され、佐村河内守氏の「代表作」となったという経緯がある。昨年、かつてその曲を演奏した東広島交響楽団から、あらためて新垣さんに新たな交響曲の依頼があり、騒動以来、初のオーケストラ曲が発表されることとなった。そして、今度は自ら「ヒロシマ」をテーマとして選んだのだ。
8月の終戦記念日に広島国際会議場フェニックスホールで初演、続いて東京芸術劇場でも演奏。CDには、東京室内管弦楽団が演奏し、自らタクトを振った福島市音楽堂でのコンサートが収録されている。