アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はドームの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■ドーム 社長室 経営企画チーム チームリーダー 兼 広報チーム チームリーダー アベ・ケビン(35)
最新の世界大学ランキング(Times Higher Education World University Rankings 2015-2016)は、日本の大学トップ、東京大学でも43位。低迷の背景に「大学の資金力がある」と考えるのが、米スポーツブランド、アンダーアーマーの日本総代理店を務めるドームだ。対策として、日本の学生スポーツを産業化し、その収益を教育環境に再投資するプロジェクトを進めている。立役者の一人が、アベ・ケビンだ。
テキサス・ダラス市生まれの日系米国人4世。子どものころからスポーツ好きで、剣道と日本語を学ぼうと16歳のとき、滋賀県の高校に1年間、交換留学で通った。
いったん帰国し、再び日本へ。立命館アジア太平洋大学を卒業後、通販会社に就職したが、「やっぱりスポーツで仕事をしたい」という強い思いから12年4月末、ドームに転職した。
スポーツ用テーピングの輸入販売会社として始まり、アスリート専用のトレーニングジムなどにも手を広げる同社。高い天井、大きなスクリーンを置く東京のオフィスは、さながら軍事基地の司令室のようだ。「仕事は戦い」という風土を表している。
中でも社長室は、多くのプロジェクトに関わる部署だ。16年4月には関東学院と提携。プロ野球では読売ジャイアンツとオフィシャルパートナー契約を結んだ。ライセンスグッズの開発・販売などを通じ、強いチーム作りの一端を担う。
「日米では“文化の違いがある”とよく言われますがそれは違います。米国は成功事例があるだけ。やるか、やらないかです」
日本人女性と結婚し、2児の父親になった。次女が生まれたばかりで妻が里帰りしており、週2回、社内にあるジムで汗を流すのが今の日課。週末は4段の腕前の剣道にもいそしむ。
(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(編集部・小野ヒデコ)
※AERA 2016年8月1日号