「彼の映画を見て育ったので、実際に彼と向かい合って演技をしているとき、これは本当なのかしら?って。トムは何をやっても苦労なしにこなしているような印象を与える。実は苦心して役を作っているけれど、観客には分からない。彼の演技は、ゆったりした魅力にあふれている。またプロで仕事に一心で、家族思いで、名声によって人格が変わったようなところが全くない。彼を本当に尊敬している」

●スタントも格闘も

 これまで文系女子、清楚な英国女性を演じることが多かったが、「インフェルノ」ではアクションにも挑戦した。

「俳優として新しい一ぺージ。アクションができるというのが、この役を引き受けた理由のひとつだったの。自信がつくにつれ、スタントも少しずつ自分でこなすようになった。体を使っての演技は好きだし、最近はワイヤで宙吊りにされるスタントも、格闘シーンもできる限り自分でやるようにしている。特に次作『ローグ・ワン』では……」

 そう、なんと彼女の次なる出演作は「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」。主人公ジン・アーソを堂々演じる。これからもどんどんアクション映画をやりたいと意欲を燃やす。

「すごくいい方向転換。これまで思考を要する演技が多かったので、肉体的な演技は嬉しい」

(ライター・高野裕子[ロンドン])

AERA 2016年10月24日号