生活の不安もあり離婚は諦めた。夫も家庭を捨てる気はないようだ。B子さんはこう語る。

「以前は、信頼関係があれば年をとったらセックスはしなくても幸せなのかもと思っていました。でも、夫に裏切られセックスレスになったことで、セックスは信頼と愛情のバロメーターなのだと気づいた。肉体の飢餓感より精神の絶望感が深い」

 精神科医の香山リカさんは、「セカンドバージンで感じる不安や苦しみは、体ではなく心の問題」と話す。心のバランスを崩しカウンセリングを受けに来る、特に40~50代の女性患者は、よくよく話を聞いてみると悩みの背景にセックスレスが隠れているケースが多いという。

「セックスレスに悩んでいるというと、欲求不満かと思われがちですが、全く違います。既婚、未婚に関係なく、女性として認められていない、求められていないと感じることで自信を失ってしまう。それが、セカンドバージンにおびえる女性たちの不安の正体です」(香山さん)

●イライラが減りました

 特定の相手がいるのに、という点で、既婚者のセカンドバージンのほうが悩みが深いかもしれない。そうした苦悩は、一時期話題になった「同窓会不倫」とも無関係ではないという。夫から女扱いされずにいた女性が、懐かしい同級生から「きれいになった」などとほめられ、禁断の愛に走ってしまう……。

「女性の場合、セックス=性欲の解消という人は多くない。女として愛されている実感、もっと言えば、自分の存在価値を確認できる行為、それがセックスなのです」(香山さん)

 10年近いセカンドバージンにピリオドを打った女性がいる。都内在住のCさん(51)は、30代でデキ婚、出産、離婚。女手一つで一人息子を育ててきた。

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