●人間関係がものを言う
結果としてマルシェは、多様な役割を果たす「場」になった。エリアに古くから住む高齢世帯と、タワマンに住む子育て世代の交流の場。地方の生産者が消費者と触れ合い、商品を知ってもらうブランディングの場でもあり、子どもが収穫や種まきを経験できる食育の場でもある。
実は小川さん自身、家族とともに勝どきに暮らす。盆踊りの手伝いをしたことがきっかけで地元町会の活動を手伝うようになり、役員を務める。今では70代の会長を「俺の東京の親父(おやじ)」と呼ぶほど慕っている。
通常、公園での大規模イベントは、町会や区、警察の協力があってできること。小川さんが人間関係をきっちり築いてきたことが役立った。
この4月からは、日本橋の再開発事業に携わっている。老舗が多く成熟した街。同じ中央区でも湾岸とは景色が違う。
「自分の街をよくしたいという思いはどこも共通。そこにいる人の“思い”が必ずある。その思いに貢献したい」
(編集部・高橋有紀)
※AERA 2016年10月10日号
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