「これまでの流行では、感染者の多くは予防接種をしていないか接種歴がわからない人です」
国立感染症研究所の調べでは、先月までの今年のはしか患者計41人のうち22人が予防接種歴無し、13人が不明だった。
確かに、はしかは予防接種で防げる病気だ。だから「はしかの感染者の移動はまるでバイオテロ」。ネット上にはそんな書き込みもある。
「それは的外れです。定期接種を受けられなかったのは、親の事情や、忙しくて行けなかったということもあるでしょう。彼らをどう救うかが課題です」(堀氏)
●任意接種5千~1万円
現在、公費負担の定期接種は1歳児と小学校入学前1年間の計2回。14年度の接種率は、1回目が96.4%、2回目が93.3%と、未接種の人もいるとはいえ、高い。だが、26~39歳は制度上、定期接種機会が1回であり、さらに接種率も低かった。すなわち、免疫が十分でない“谷間”の世代といえるのだ。
定期接種の期間を逃すと、5千~1万円ほどの自己負担となる。今回の関空関連での流行を受け、大阪府の指導にもとづいて関空の従業員らへの予防接種が8日から始まった。
「任意接種なので、通常は本人負担。会社が補助をするかなどは何も決まっていません」(関西エアポート広報担当者)
定期接種のタイミングを逃した人たちへの対策は、喫緊の課題だろう。(編集部・長倉克枝)
※AERA 2016年9月19日号