主に関東圏の葬儀社に提案しており反応は上々だという(撮影/横山渉)
主に関東圏の葬儀社に提案しており反応は上々だという(撮影/横山渉)
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「早割」の購入理由は「両親のため」がトップ(69%)で、「自分のため」(10%)、「夫・妻のため」(6%)と続く(撮影/写真部・大野洋介)
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高齢化が進む香港やシンガポールなど海外からの問い合わせも増えているという(写真:ニチリョク提供)
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「業界の深刻な人手不足もIT化で解消できる部分がある」(加藤取締役)(写真:アーバンフューネスコーポレーション提供)
「業界の深刻な人手不足もIT化で解消できる部分がある」(加藤取締役)(写真:アーバンフューネスコーポレーション提供)
1人ぶんずつ遺骨を海に流し、献花、献酒、献水する(撮影/編集部・常冨浩太郎)
1人ぶんずつ遺骨を海に流し、献花、献酒、献水する(撮影/編集部・常冨浩太郎)

 死亡数160万人時代の課題はビジネスで解決火葬場の不足や葬儀費用の不透明性など、業界に問題は多い。それらの問題を解決しようとチャレンジするビジネスが増えている。

【葬儀ビジネス01】
ドライブスルー葬儀:足腰の弱いお年寄りも車から降りずに焼香

 葬儀のあり方は大都市と地方では大きく異なる。都市部では葬儀場まで電車で行けるが、地方では車で行くのが普通だ。そんな地方の事情に照らして、「ドライブスルー型葬儀システム」を開発し、特許を取得した会社がある。長野県上田市のD&Aコンサルティングだ。

 葬儀の流れはこうだ。葬儀場の専用通路に入ったら、誘導灯の指示に従って専用受付の横に車をつける。受付にはタッチパネルがあり、車から降りずに窓から手を出して氏名・住所などを入力し、焼香ゾーンへ。

 ここでの焼香は、抹香を指でつまむ通常のものではなく、焼香台に置かれた「焼香ボタン」を押す。すると、葬儀場の祭壇の遺影下に置かれた花形ランプに明かりがともり、焼香があったことを知らせる。

 車内で手を合わせ拝礼している姿は、遺影近くに配置されたスクリーンに映し出される。焼香が済んだら、ゲート用ボタンを押す。前方の自動ゲートが上がり、あとは前進して通路を抜けるだけ。香典はタッチパネルのところにいる係員に手渡しする。開発した同社の竹原健二社長が言う。

「6年前、知り合いから、お葬式の通知が来たので車で連れていってほしいと頼まれた。その方は高齢で足がかなり弱っていました。葬儀場に行くと、焼香をするのに長い列が。結局、中に入って出てくるまで40分もかかりました。足腰の弱いお年寄りが長時間立っているのはつらい。車から降りずに済ませることはできないかと考えました」

 受付のタッチパネルには、供花を注文できる機能もある。葬儀終了後は、参列者や供花した人などがすべてリスト化されるので、喪主も手間が省ける。

 一つの葬儀場に最大2台まで設置することを想定しており、2台設置すると金額は1800万円。現在はデモ機のみだが、来年4月にこのシステムを備えた葬儀場が開設される予定だ。(ジャーナリスト・横山渉)

【葬儀ビジネス02】
葬式「早割」サービス:事前に500円支払うだけ最大で6万6千円安くなる

 葬式の「早割」チケットが売れているという。飛行機や携帯電話じゃあるまいし、いったい何のこと?

「500円で入れる、葬儀の掛け捨て保険のようなものです」

 と、「早割」サービスを考案したユニクエスト・オンライン(大阪市)社長の田中智也さん。

 同社は14ページで「改葬代行」を10月から始めるとすでに紹介した。追加料金一切不要の葬式を提供しており、料金体系がわかりにくい業界に一石を投じている。

「われわれのサービスは社会貢献性が高いと思っています。そのサービスを、死という危機感をまだ持てない人に知ってもらうには、『割引』というメリットが必要でした」(田中さん)

 葬儀で掛け金を積み立てるサービスとしては、葬儀社などが運営する冠婚葬祭互助会があり、葬式を挙げる時に積立金を使うことができる。しかし、いざ葬儀となると、葬儀社から「花飾り」や「湯灌(ゆかん)」など望んでいないサービスをすすめられ最終的に高額になるケースがあり、国民生活センターへの相談も少なくない。同社はその点、定額プランとなっているので、そうした心配はないという。

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