「経済合理性が必ずしも優先されないことを、英国民が証明してしまった。予想できないことが、今後いくらでも起こり得るだけに、相場を予測するほうが無謀。一喜一憂せず、平均点を取りにいくのが賢い選択」

 そう釘を刺しながら、山崎氏が挙げたのは、TOPIX連動型ETFとMSCIコクサイ連動型のインデックスファンド。前者は文字通り、TOPIXに連動する上場投信。“日本株の平均点”に投資できる金融商品で、野村アセットマネジメントが設定・運用しているものが最もメジャーだ。

●世界の平均点を取る

 後者は、日本を除く先進国の平均株価をベンチマークとする指数に連動した投信。“世界の平均点”に投資できる金融商品と考えればいい。TOPIX連動型と同様、多くの運用会社が商品を設定しているが、なかでも「ニッセイ外国株式インデックスファンド」の信託報酬が最も安いという。ETFにも同じ指数に連動する商品はあるが、少額から始まる場合には1万円から積み立て投資ができるインデックスファンドを選択したい。

 同じく“有事の金”としてBrexit後に急騰した金も長期投資が前提だ。

「いまだ中国、インドの需要が旺盛で、長期的には新興国からの需要が倍増すると見込まれている。目先は上値が重たくなっているが、控えめに見ても20年までに1トロイオンス=1800ドルは見込める(直近価格は1360ドル)」(豊島氏)

 さらに潤沢な資金がある場合には、海外の高利回り債券に投資するのも一つの手だ。

「米国ハイ・イールド債は直近でも7%を上回る高利回り。為替リスクが発生しますが、為替ヘッジ付きの米国ハイ・イールド債券ファンドのヘッジコストは1%程度で、それを除いても十分利回りが見込める」(深野氏)

 実は、長期的視点に立てば、来たる円高相場は資産形成のチャンスともいえる。

「年内はリスク回避志向で円買いが進むが、来年は再び米国が利上げに動くため、ドル高基調が強まり、長期的には1ドル=150円を目指すと予想している。1ドル=90円台の円高相場でいかにドル建て資産を形成するかが鍵となる」(豊島氏)

 いかにして低迷しているマーケットで金融資産を仕込むか。これからの資産運用で、将来が大きく左右されるのは間違いない。(ジャーナリスト・田茂井治)

AERA 2016年7月18日号