個人投資家は息も絶え絶えだ。6月24日以降、リスク回避から急激に円高が進行。株価は低迷している。円高株安時代の資産運用、どうすれば?
「ボーナスが出たその日に、200万円の含み損が発生するなんて……」
一部上場の某メーカーに勤める男性(38)は、夏のボーナス支給日だった6月24日を振り返りながらこう嘆息した。給与の2.2カ月分。金額にして100万円弱が振り込まれたその日に、支給額の倍にも相当する損失を株式投資で抱えてしまったのだ。そのため、この男性は夏に計画していた旅行をキャンセル。今回のボーナスには一切手を付けず、すべて貯蓄に回すことを決めた。
6月24日、マーケットは歴史的な大暴落に見舞われた。引き金を引いたのは、ご存じのとおり、英国のEU離脱派が勝利した国民投票だ。その日、ポンド/円は25円も急落。1日の下落率としては、ジョージ・ソロスが引き起こしたポンド危機時の「ブラック・ウェンズデー」(1992年9月16日)をも上回った。リスク回避の動きを受けて、円は対ドルで瞬間的に98円台に突入。日経平均は1日で1300円も下げたのだった。それから2週間、マーケットは小康状態にある。日経平均は1万5千円台をキープ。NYダウは英のEU離脱(Brexit(ブレグジット))投票前とほぼ同水準まで回復している。だが、これは“嵐の前の静けさ”と言えそうだ。
●イタリアから信用不安
「今後、イタリアなどでユーロ離脱機運が高まるようなら、英国のEU離脱以上に大混乱をきたす。離脱に傾いた国の国債は投げ売りされて大暴落。その国債を大量に保有する欧州系金融機関の信用不安が巻き起こる可能性は少なくない」
経済評論家の山崎元氏はこう警鐘を鳴らすのだ。
実際、7月4日にはイタリアの老舗銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナが「ECB(欧州中央銀行)から2018年までに不良債権を30%以上削減するよう求められた」ことを公表して、イタリアの銀行株が急落。政府が銀行への公的資金注入を含めた救済策を検討していることも伝わり、にわかに信用不安が再燃した。