ログの表示、受信、送信、というチャットアプリの構造について、説明を読みながら空欄を埋めていく。プリントをある程度進めたら、PCを開き、学んだことを画面上で実行する。チャットを始めるための「発言する」ボタンを表示させると、ど真ん中に出てしまった。これでは会話ログを表示させるときに邪魔になるため、移動させる必要がある。

「プログラミングの世界での座標は、画面の左上がx座標=0、y座標=0という地点になります」(後藤さん)

 y座標=0という位置ブロックを追加すると、上に動いた。なるほど、なるほど。このへんまではよいのだが、送受信のシステムのあたりで厄介になってくる。

 チャット入力した文字をテレパシーという名前のグローバル変数(箱)で送る、という「テレパシー送信」なる飛び道具が登場する。使うブロックもがぜん上級に。代入ブロックの中に「変数(text)+=グローバル変数(テレパシー)」。代入なんて言葉、数学の教科書以来の再会だ。頭の中のはてなマークが全部消えたわけではないが、なんとか完成。

 宿題として家でやったストップウォッチ作りでは、なぜかストップボタンを押してもカウントが止まらないストップウォッチができてしまったが、完成図を見ながら直すことができた。プリントの力、偉大なり。

 これっぽっちの体験でプログラミングの何たるかは語れないが、少なくともド文系の私がじんましんを出さずに、楽しみながら終えることができたのは事実だ。それほどまでに、プログラミング界が進化しているということだろう。

 このまま続けていけば私も後藤さんレベルになれるのか。参考までに、後藤さんがプログラミング習得の際につまずいたポイントを聞いておいた。それは「考えすぎた」ことだという。

「プロパティとは、オブジェクトとは、など、言葉に踊らされてしまった。概念を気にしすぎるより、実際に手を動かすなかで理解していったほうがいい」

 習うより慣れろ、はどんな「言語」の習得にも共通する教訓か。(編集部・高橋有紀)

AERA 2016年6月13日号

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