7年の歳月をかけ、核廃絶の理想を形にしようとするオバマ米大統領。一方、被爆国・日本の政府は、当事者意識が乏しかったのではないか。
「国内ではオバマ訪問に反対するデモもあったのに、勇気を持って来てくれた」と話すのは同地に住む相川知子さん(49)。出身地の広島市から委嘱され「ひろしま平和大使」を務める。現地の人に折り鶴の作り方などを教えながら、原爆被害の実態を伝えている。
日米両政府は、伊勢志摩サミット後の5月27日、オバマ氏が広島を訪れると発表した。原爆を投下した国の現職大統領が初めて、被爆地に立つ。相川さんはそのニュースに希望を感じた。
「私たちにとって大切なのは、みんなが一緒に平和を築くこと。オバマさんの広島訪問を未来の平和への一歩にしてほしい」
オバマ氏は広島平和記念資料館を見学し、慰霊碑に献花する計画とされる。安倍晋三首相も同行し、オバマ氏は2009年のプラハ演説で訴えた「核兵器なき世界」に取り組む決意を再確認する声明を出す。安倍氏は、「大統領が広島の被爆の実相に触れ、その思いを世界に発信することは、核兵器のない世界に向け大きな力になる」と語った。
ただ、市民への原爆投下という非人道的行為に対して、オバマ氏は謝罪しない方針という。