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 大ヒット作「タキシード・ジャンクション」をレコーディング・デビューしてから、もう30年以上にわたってトップの座を譲らないヴォーカル・グループの最高峰「マンハッタン・トランスファー」。

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 まだニューヨークに行ったことがなかった当時のぼくは、マンハッタン・トランスファー、略して「マントラ」を聴いては、グループ名や曲名から、「マンハッタン乗換駅」や「高速道路タクシー連絡交差」なんて言葉の連想をしながら、ニューヨークへのあこがれをむくむくと膨らませていたのでした。

 そんな頃、1980年に「バードランド」でグラミーを受賞して、その直後に初来日した「マントラ」を初めてナマで聴いた…… うっわーオッシャレ~! うっわーニューヨークのハイセンスゥ~! うっわーカッコエエ~!と、もちろん絶妙のハーモニーやハイレベルの音楽性に感激しつつだけれど、彼らの魅せるライブ・パフォーマンスに興奮しまくりだったのです。

 グラミーを獲得した「バードランド」はウェザー・リポートの曲をヴォーカリーズでカバーして、マントラ人気を決定的にしました。ヴォーカリーズとは、ジャズ・ミュージシャンが楽器で演奏したフレーズに、歌詞を付けて歌うジャズ・ヴォーカルの技法らしいです。アドリブ・フレーズの上にも巧みに歌詞を乗せていく方法は、歌詞のないスキャットとはちょっと違うようです。

「バードランド」の翌年、「ボーイ・フロム・ニューヨーク・シティ」のグラミー・ゲットはジャズとポップ両部門での同時受賞、しかも2年連続の快挙!。そして何と現在までに10のグラミーに輝いた、まさにスーパー・グループ!と言うしかないな。

 ティム・ハウザーはマントラの創始者でリーダー、音楽プロデューサーとして様々なミュージシャンの作品も手がけている。グループではベース・パートを担当。

 ジャニス・シーゲルは華やかなパンチの効いたアルト・パート。グループのアレンジャーとしても活躍。

 アラン・ポールはブロードウエイ・ミュージカルの舞台も踏んだパフォーマーであり、アレンジャー。魅惑のテナー・パートを歌うソングライターでもある。

 シェリル・ベンティーンは4人の中では最後の参加者。グループのハーモニーに輝きを加える艶やかなハイ・トーンで歌うソプラノ・パートを担当。

 そして4人はそれぞれにソロでもアルバムをリリースして活動するほどの実力者ぞろいである。

 ステージ以外のジャニスを撮影する機会があった。

「ハイ!ジャニス、ぼくの名前はあなたと同じシーゲル(繁)なんですよ。」
「ホント?じゃあなたと私の先祖は同じかもね……嬉しいわ」

 ニューヨークのホテルでシェリルを撮影する機会があった。

「オシャレなニューヨーカーの写真を撮らせてくださいよ」
「このホテルがとってもオシャレだから、私は普通に座ってればいいわね」(撮影場所になったホテルのロビーは、人気を博したオシャレなデザイナーズ・ホテルだった。)

 アラン・ポールを中心にしてグループ・ショットを撮る機会があった。

「シャツを破るところを撮るかい?」(ステージ上のパフォーマンスで、アランが歌いながらシャツを破るシーンがあった)
「いやいやいや、高そうなシャツだから破らないで、バードランドのラストでやるあの『決め』のポーズを4人でやってくれませんか」(と、言うわけで、その「決めポーズ」のグループ・ショットを撮らせていただいた、決まった! ……しかしその写真がどうしても見つからない……残念。)

 大人気のヴォーカル・グループ(その後、たびたび来日しているのに)、ぼくはしばらく彼らに会う機会がないまま時が過ぎていたのだけれど……。約20年ぶりぐらいにマントラを撮る事になった! ……しかも、ビルボード・ライブ東京のマントラ!

 オッシャレ~でハイ・センスな「マントラ」を、同じくオッシャレ~でハイ・センスな「ビルボード・ライブ東京」のステージで観て・聴いて・撮れるチャンスがやって来た!

 ブルーノートをはじめ都内のジャズ・クラブでの撮影は何度も経験したけれど、ビルボードのライブはこれが初めてのこと……ドキドキしながらオープニングを待っている時、楽屋からステージに向かうティムにばったり出くわした。

「覚えてるよ、俺たちを撮ったフォトグラファーだろ」
「ホントですか? もう20年も前のことですよ…… 歳とりました…… 今日の写真はあとで見せますからね……」

 20年の年を経ても衰えないパワーと絶妙のハーモニー、20年の時を経てより洗練されたセンスと深み。そんな事を思いながらぼくは夢中でシャッターを押し、とびきり華麗なステージはあっという間にアンコールの拍手に包まれて終わった。

 うっわーかっこ良かった~! また来よう……いやいや今度はカメラを持たずに来よう、夜景をながめグラスを傾けて、魅惑のジャズを聴く…… うわ~オッシャレじゃないですか! マントラのあとは、マンハッタン・ジャズ・クインテット、マンハッタンズ、ニューヨーク・ヴォイセス…… 続々と魅力のブッキング!ニューヨーク特集みたいじゃないですか。また来なきゃ!ですね。