アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回は千葉共同サイロの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■千葉共同サイロ 営業推進グループ チームリーダー 鈴木圭一(45)
製鉄所などの大工場が立ち並ぶ千葉港。その一角に、膨大な量の小麦を一時貯蔵する施設がある。千葉共同サイロは、北米などから商社が輸入した小麦を、菓子やパン、製粉などの工場に出荷する拠点だ。253本のサイロに計16万1千トン収容できる。2014年度の小麦取扱量は110万トンで、日本一。設立から半世紀近く、ニッポンの食卓を支えてきた。
「船は、現地を出てから約2週間で千葉に着きます。天候の影響なども考えて、いつ、どれぐらい保管しておけば大丈夫か、3カ月先まで計算しています。予定通りに荷を動かせたときは達成感がありますね」
隣接する飼料工場が移転し、06年度の取扱量は71万トンにまで減った。少子高齢化で、小麦の需要そのものが伸びることも考えにくい。そこで鈴木圭一は、量を確保するために国内のほかの港へ送るための小麦も預かり、小型船に積み替えて届ける業務も請け負おうと考えた。商社にとっても、コストのかかる大型船で各地を回らずに済むはずだ。
4年前、小型船への積み込みができる装置を新設。取扱量を2割以上回復させるのに成功した。
ビジネス専門学校を卒業後、システムエンジニアを経て、1992年に入社。実際に荷揚げ装置を操作する担当などを8年間務めてきた。2000年、「現場がわかる営業マン」として白羽の矢が立った。
「4人の部下にはまめに声をかけ、短時間でも毎日ミーティングをして進み具合を確認しています。取引先に対しても、電話だけでなくこまめに訪問させていただいています。そうした積み重ねが信頼につながると思うから」
休日の楽しみは、妻と2人の子どもと遠方にドライブすること。自身、小さいころから千葉港近くで育ったせいか、行き先はやっぱり港になる。根っからの港好きなのだ。
(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(ライター・安楽由紀子)
※AERA 2015年11月30日号