意に沿わぬ配属先や度重なる出向に、心をくじかれる人もいる(※イメージ)
意に沿わぬ配属先や度重なる出向に、心をくじかれる人もいる(※イメージ)
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 会社員人生を大きく左右する「人事異動」。なかには意に沿わぬ配属先や度重なる出向に、心をくじかれる人もいる。

 大阪の百貨店で働いて19年目になる大田由貴さん(仮名・42)は短大英文科卒。学校に来る求人などから50社以上受けたが、就職試験は惨敗。やむを得ず、アルバイトを始めた。

 23歳の時、百貨店の販売促進部のアルバイトに応募した。仕事内容は洋服の販売で、もともとアパレル業界の就職を狙っていたこともあり「やりたいことができる」と思った。ところが配属先は経理部。「アルバイトとして採用されたのだから仕方ない」と自分に言い聞かせた。

3年目、人事部に呼ばれた。

「辞めるか、出向先に行くか。どちらかにサインして」

 とまどいながらも、翌日から百貨店の取引先である運送会社の経理部に出向した。そしてまた3年後。「百貨店に戻ることで進めている」と通告を受け、再度百貨店の経理部へ。アルバイトのまま数年おきに取引先と百貨店の経理部を行き来し、33歳で販売促進部へ配属。嘱託社員の契約になった。最初に販売促進部の募集に応募してから、10年もの月日が経っていた。

「企業コンプライアンスに違反するから嘱託社員になったのかな、という認識です。正社員も異業種に突然飛ばされている職場なので、今後もどうなるかわからない」

 一方、安定志向が特徴のゆとり世代。ここなら堅実と思って選んだ会社が全く違っていたのは、高橋裕子さん(仮名・25)だ。

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