男社会の不具合の辻褄合わせのような目にあうことも…(※イメージ)
男社会の不具合の辻褄合わせのような目にあうことも…(※イメージ)
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 男女雇用機会均等法施行から30年。かつて「職場の花」などと言われてお飾りでしかなかった女性も、いまや「1億総活躍社会」の掛け声のもと、会社組織にがっちり組み込まれている。

 しかし、組織に組み込まれたがゆえに、男社会の不具合の辻褄合わせのような目にあうことも増えた。とばっちりを受け続ける女たちの叫びが、この春にもこだまする。

 渡辺ひろみさん(仮名・50)は、国立大学文学部卒業後、金融会社に総合職として就職。出社初日の人事部の言葉に耳を疑った。

「君は営業部になったから」

 確か、配属は企画部だったはず。怪訝(けげん)な顔をする渡辺さんに、人事部は「営業本部長が君を欲しいと言っている。諦めろ」。

 思い起こせば、入社式の夜に開かれた社員食堂での懇親会で、人事部から「あの人は役員で偉い人だから、挨拶をして」と耳打ちされ、二言三言おしゃべりをした。その「偉い人」は、営業本部長。後で知ったことだが、数千人いる新入社員のうち、1割にも満たない女性総合職に興味を抱いた営業本部長が懇親会に参加。「彼女はうちに」となった。

 その夜「軽くメシでも」と課長代理に連れていかれた和食屋には、部長と課長が深刻な顔で座っていた。乾杯後、料理が来るのを待たずに、部長がおもむろに言った。

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