「家族の一体感が失われる」「子どもがかわいそう」……家族とは、同じ姓でつながれた関係でなければならないのか。家族の範囲はどこまで?呼び名にこだわらず、関係をみつめ直す人たちも増えている。
夫婦同姓を「合憲」とした最高裁判決は、「姓とは何か」を改めて世に問うた。民法は、夫婦は夫または妻の姓を称するものと定めており、どちらかが改姓を余儀なくされる。判決は、「夫婦同姓は我が国の社会に定着してきたもので、夫婦同姓制は家族を構成する一員であることを対外的に示し、識別する機能を持っている」とし、子どもが両親と同姓であることにも「一定の意義がある」と述べた。
家族で姓が違うと「識別」の不便は多少ありそうだが、問題はあるのだろうか。
ニシザワヨウコさん(38)は9年前、離婚によって2人の息子とともに旧姓「ハシノ」となった。5年前の再婚でヨウコさんだけが新しい姓の「ニシザワ」となり、姓が変わるのを嫌がった長男(15)と次男(10)は「ハシノ」のまま。その後、生まれた長女(3)は「ニシザワ」だ。
小学校や幼稚園ではヨウコさんが息子たちと同じ「ハシノ」を通称使用。毎年、新しい担任に説明するのは面倒だったが、学校側も対応に慣れていて申し送りしてくれることもあった。
「親子で姓が違っても、特に大きな問題はありませんでした」