「これは(本流の)保守主義ではない。わが党が支持するものではない。もっと重要なのは、この国が支持するものでもない」

 メディア、共和党幹部、民主党、オバマ大統領。「差別声明」をきっかけに、誰もが否定的な声を上げている。

 ところが、直後の世論調査で、トランプ氏の支持率は逆に上昇した。米紙ニューヨーク・タイムズとCBSテレビが行った調査(12月4~8日)によると、共和党候補ではトランプ氏が35%で、2位のテッド・クルーズ上院議員の16%に大きく差をつけた。なぜなら共和党支持の有権者の多くは、トランプ氏の発言に留飲を下げているからだ。

 ある調査によると、共和党員の46%が、イスラム教徒は米国にとって脅威と信じている。トランプ氏支持者に絞るとこれが6割を超える。民主党員では23%だ。驚いたことに、イスラム教徒のどの程度がISを支持していると思うか、という質問にも、45%の共和党員が「半分以上か、それよりも多い、ほとんど」と答えた。

 党則もトランプ氏に有利だ。指名争いの候補者は、党に誓約の署名をしている。その中に、指名を得られない場合、指名候補者を支持するという項目がある。無所属候補が出て、票が割れるのを防ぐ措置だ。このため、現在トランプ氏を攻撃している党幹部やほかの候補者も、トランプ氏が指名を得た場合、無視すると言明できないでいる。

AERA 2015年12月28日―2016年1月4日合併号より抜粋

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