グローバル教育か受験か――教育熱心な親こそ直面することになる悩み。できれば両立したいところだが、それが難しいからこそ、悩みは尽きない。
早くから子どもに英語を学ばせている親たちは、教育に関する情報感度が高い。グローバル化の波を敏感にキャッチし、英語力に加えて思考力やコミュニケーション力を養おうと、時間とお金をかけてさまざまな体験をさせている。
親自身も教育熱心な家庭で育ち、学歴による成功体験をもつ場合が少なくない。子どもの成長につれ、受験が視野に入るのは当然の流れだ。
東京都内で小学3年生の娘(8)を育てている母親(39)はまさに今、グローバルと受験の選択の岐路にいる。
留学経験があり、娘には日常的に英語で声をかけてきた。1歳半から海外旅行に連れていき、小学校の夏休みには海外のサマースクールやホテルのキッズクラブで異文化交流も経験させた。3年生からは公文式で英語の読み書きを学ばせ、スカイプで英会話レッスンもしている。
しかし周りは「もう英語どころではない」という雰囲気だ。住んでいるのは、9割が中学受験をし、公園に子どもの遊ぶ姿が見当たらないような地域。3年生の2月が受験塾に通うスタートラインとされている。