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 ガンダムファンとして知られる、GACKT。ガンダム世代を代表するアーティストが、ガンダムから教えられたものとは。

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 ガンダムには、愛すべきキャラクターがたくさん出てくる。しかもパーフェクトなキャラクターは誰一人いない。物語では、そのキャラクターたちの成長と葛藤が描かれている。

 たとえば、シャア。最初は完璧に見えるのに、彼には彼の苦悩があり、その苦悩を抱えながら、弱さを見せずに戦っている。つまり、どんなに完璧に見える人でも、問題や悩みを抱えている。それを背負いながら、使命感や目的を達成するためには、多少の犠牲が必要だということを教えてくれてるんだ。

 僕はビビリだから、アムロみたいに弱い部分も持っている。でも、何かあるとすぐに逃げだすアムロを見て、これじゃあダメだと反面教師になった。

 そういう意味では、GACKTとしてはシャアのような生き方が合う。だけど、孤独。しかも、彼は数奇な運命を背負っている。でも、それを恨んではいない。受け入れたうえで自分の目的を達成しようとする。彼の目的は、父を非業の死に追いやった、ジオン軍を支配するザビ家の打倒。それを、ジオン軍に身を置きながら、執念を燃やす。その姿は指針になるよ。

 僕は、子ども時代、身体が弱くてほとんど病院で過ごした。生きる意味も見いだせずに自暴自棄だったけど、二十歳の頃、ある人と出会い、背中を押してもらったことで、考え方が180度変わった。未来や夢は自分でつくっていける、と信じられるようになった。僕が存在する理由は、「ある人」が僕にしてくれたように、歌を通して誰かの背中をほんの少しでも押すことにあると思ったんだ。

 10年ほど前から毎年、全国の中学や高校で「卒業式ライブ」を行ってる。元々は兵庫県にいたある高校生との約束を果たす目的でスタートしたんだ。それを機に「夢は見るものじゃない、かなえるもの。夢をかなえること、それは強い意志を貫くこと」というエールを、これから未来を歩く者たちにライブを通して送るようになった。道に迷っている人はたくさんいる。夢を持たない者も少なくない。そんな人たちが僕のメッセージを聞いて、前に進むきっかけにしてくれたら、うれしい。

 自分のためではなく、未来に向かう子どもたちのために何ができるのか考える。これが、僕がガンダムに教えられた、もっとも大切なことだと思ってる。

AERA 2015年7月27日号より抜粋