健康のため、美容のため……できれば、目指したいのは引き締まったボディ。編集部員が健康な体を求め、超絶スパルタメソッドを実践した。果たして結果は……。
私が挑戦したのは「吉川メソッド」。短期集中型の筋トレと糖質制限食による肉体改造だ。このトレーニング理論を開発した吉川朋孝(ともたか)氏(42)監修の『狙った筋肉を鍛える!筋トレ完全バイブル』(朝日新聞出版)をもとに、一人で挑む。そうはいっても、筋トレ初心者だから、最初は吉川氏の指導を仰ぎに行くことにした。
その前に本を参考に、まずは糖質制限食に取り組む。コメや麺、パンを食べず、肉や魚中心の食事に。すると、さっそく89キロあった体重が5日間で2.7キロも落ちたではないか! 本と付属のDVDで予習もした。いざ、先生のもとへ。
6月15日。東京都港区内のビルの一室にジムはある。多店舗展開のライザップと違い、ジムはここ1カ所。弟子のトレーナーは、わずか3人という。吉川氏は言う。
「私は職人。簡単には弟子を育てられません。質を落とせば別だが、それだけはしたくない」
同じようなトレーニング法のライザップについて聞くと、吉川氏はきっぱりと、
「あれは、うちのパクリです」
さて、本題に入る。数ある筋トレメニューの中から、大臀(でん)筋や上腕三頭筋、腹直筋に効く七つを実践。中でも私を冒頭の悶絶に至らしめたのは、「シシー・スクワット」だ。
骨盤を斜めにし、ひざを前に突き出し、太もも前面の筋肉を伸ばす。映画「マトリックス」で、体を後ろに反らしてピストルの弾をよけるキアヌ・リーヴスのような体勢のまま、体を上下させる「荒業」だ。3回でギブアップすると、先生に激しく叱責された。
「あなたのような人は見たことがない! フランス料理で言えば、メインディッシュを前にして前菜でごちそうさまするようなもんだよ。さあ、最初から」
再び3回やると、先生は「ラスト3回。ここからがおいしいところだよ」の声。終わると、床に倒れ込んだ。情けないと思うかもしれないが、やってみれば分かる。吉川メソッドでは、基本10回がワンセットだ。
「100回できるスクワットは意味がありません。正しいフォームで実践すれば、ピンポイントで対象筋に効きます。間違ったフォームだと、力がほかの筋肉や関節に逃げるので効きません」(吉川氏)
2日後、太ももや腕がパンパン。その後も1週間に1度、会社のフィットネスルームで30分ほど、汗だくになりながら筋トレに励んだ。シシー・スクワットも、自分なりに何とかできるように。約4週間後、体重は6.5キロ減っていた。
※AERA 2015年7月20日号より抜粋