「琉球独立に向け、琉球の島々からすべての基地を撤去するのが、学会の掲げる大事な目標。だが、日本政府は基地撤去を認めない。琉球を平和な島々に戻すためには、琉球が自治権を確立し、独立するしかない」
琉球独立への意欲は本物だが、それでは独立に向け、どんな青写真を描いているのか。
『琉球独立論』(バジリコ)の著者で、同学会の共同代表を務める松島泰勝・龍谷大学教授は、こんなプランを説明する。
(1)国連の脱植民地化特別委員会で「非自治地域」に登録させるため、県議会で決議を行う。
(2)登録後、国連監視下で住民投票し、独立が決定すれば独立を宣言する。
(3)世界にいる50万人の琉球出身者の協力も得ながら、各国に働きかけて国家承認を求める。
松島さんによれば、南太平洋にある人口1万人のツバルや2万人のパラオも戦後、独立を達成している。
2005年にある学者が行った調査によれば、独立支持者は25%。経済的自立が確かならば、5割に達する結果だった。一方、今年5月末の琉球新報などの世論調査によると、沖縄の将来について、現行通り日本の一地域(県)のままが66.6%、特別自治州などが21.0%、独立は8.4%だった。調査によって数字にばらつきがあるようだ。
しかし、この数年、琉球独立論が県民にとって「共通の話題」の地位を獲得しつつあることは間違いない。
今後の琉球独立論の行方を松島さんは「辺野古問題の成り行き次第です」と見る。
「日本政府が辺野古の海を埋め立てるほど、独立の時期が早まると思います。日本政府が辺野古移設を断念し、普天間も嘉手納も返還するとなれば、一時的には沖縄で独立の雰囲気は弱まるでしょう。つまり日本政府が琉球を選ぶのか、米軍基地を選ぶのかが問われているのです」
※AERA 2015年6月29日号より抜粋