ネットや量販店で数万円で買えるドローン。利用拡大が進む中、事件は起きた。技術の発展に規制が追いついていない。国は早急なルール作りに動きだした。
ドローンがいとも簡単に国家中枢に侵入した。しかも、「首相官邸で新人職員を案内中に、偶然発見」と聞いて、誰もが唖然とした。搭載容器から検出された放射線は「直ちに人体には影響のないレベル」だったが、もっと危険なものだったら一体どうなっていたことか。
事件は、海外に比べ出遅れていた日本が、ようやく成長分野としてドローン産業振興に乗り出した矢先に起きた。昨年から産官学一体の推進体制が始動し、3月には秋田県仙北市がドローン特区第1号に決定。初の国産機の量産も始まったばかりだった。その「日の丸ドローン」の開発者で、日本におけるドローン研究の第一人者の野波健蔵・千葉大学特別教授は憤る。
「最悪のタイミングで起きた事件。許し難い犯罪だ」
国土交通省でも「ドローン無法地帯」ともいえる状況に危機感を募らせ、4月6日の大臣の諮問会議で初めて「無人機」を議題に加えたばかりだった。