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 余暇の過ごし方としてすっかり定着したランニング。しかし、走らない人間はなんだか負い目を感じてしまうこともあるわけで…。アンチランナーである編集部員のぼやきをきいてください。

 日曜日の昼下がり、ハンバーガー(推定960kcal)で満たされた腹をさすりながら歩いていると、後ろからドン!市民ランナーだ。よろけた中年女には目もくれず、耳はイヤホンで完封。猛スピードで駆けていった。

 ここは老若男女が安全に通行するための「歩道」である。なぜ全力疾走するのか?一部ランナーのマナーの悪さは以前から指摘され、皇居周辺ランナーサポート施設等連絡会は左側走行などを啓発してきた。しかし最近は都心の狭い歩道でも、自由気ままに走り回る人が増えている。

 SNS上でも「早朝ラン、朝日に感動♪」「○○マラソン完走!」「本日は12.5キロ」――。私が惰眠をむさぼる間にも、1分1秒を争う人が。「いいね!」「いいね!」。はあ~、疲れる。ランナーにイラつくなんて了見が狭いのか?東海大学の高妻容一教授(スポーツ心理学)がその心理を分析してくれた。

「アンチランナーは学生時代の運動コンプレックスを引きずっている場合がある。一方、走っている人は緊張とリラックスが混じった最高の精神状態で、仲間も増え、心身ともに充足しています」

 つまり、リア充でないから、「ランナーズハイ」という「お花畑」な人たちに共感できない、と。「気持ちいいから走ろうよ」と屈託なく誘われると引くのもそのせいか。

「ランに限らず、仕事やセックスでも同様の充足感は得られますよ」(高妻教授)

 私もソリティアをクリアしたら最高に快感だけど、人に勧めたりはしません。ランニングは趣味界の特権階級にある模様。とはいえ、怠惰な生活を糾弾されていると感じるのは少々、被害妄想かも。

 とりあえずマイペースで歩いてみよう。歩道左側に気を配りつつ。

AERA  2015年2月23日号より抜粋