石井里幸さんの愛猫はロシアンブルーのふじこ(メス、7カ月)。「ルパン三世」の妖艶で憎めない悪女と、体毛のふじ色にあやかって名付けた。留守番の間は、外が見えるように窓際に猫タワーをたてた。その最上階のハンモックがふじこの定位置だ(撮影/慎芝賢)
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石井里幸さんの愛猫はロシアンブルーのふじこ(メス、7カ月)。「ルパン三世」の妖艶で憎めない悪女と、体毛のふじ色にあやかって名付けた。留守番の間は、外が見えるように窓際に猫タワーをたてた。その最上階のハンモックがふじこの定位置だ(撮影/慎芝賢)
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 と暮らす一人暮らしの男性が増えているという。猫との生活は、意外な経験値をもたらすことがあるようだ。

自身も猫と暮らす「猫男子」を自認し、ブログ「ネコボク手帖」を運営するライターのタカハシヒカルさん(42)によると、猫と暮らす男性のイメージは必ずしもよいものばかりではないという。

「猫を飼っている男性は優しそうと言われることもありますが、根暗そうとか粘着質っぽいとか、マイナスイメージも意外と強い。でも、猫は犬のように散歩も必要としないし、どちらかといえば独立自尊で、四六時中甘えてくるわけでもない。忙しく働く単身者にとって、自分の時間も持ちつつスキンシップを図れる猫は、魅力的なパートナーだと思います」

 人間の思い通りには動いてくれない猫がもたらす不条理は、恋愛や結婚生活のリハーサルにもなるのでは、とタカハシさんは言う。

周囲に婚期を心配されながら、40代を目前に、猫と暮らし始めた人もいる。金融関連会社でSEとして働く石井里幸さん(39)は、昨年、マンションを引っ越して家具をそろえ直した。新しいことを始めるにはいい機会だったのかもしれない。猫好きの友人に勧められ、ブリーダーからロシアンブルーのふじこを譲り受けた。

 プライベートでは、友人とホームパーティーをしたり、生け花やギターを趣味にしたりと、充実した毎日を送っていた。だが、周囲が次々に結婚し、「まだ独身?」「結婚しないの?」などの声が煩わしい中で、猫を飼うのは冒険でもあった。

 ふじこを迎えて間もなく、画像共有アプリのインスタグラムはふじこ一色になった。撮影した猫写真を、ふじこを上から目線の発言主に見立て、自虐コメントとともにあげていく。ふじこの美猫効果もあり、評判は上々だが、懸念もある。

「周囲から『寂しいんじゃないのか』と本格的に心配されそうで、頻度は抑えているつもり」

 石井さんには、家庭を持って子どもを育てたいという気持ちがある。猫との暮らしはむしろ、将来のための経験値を上げていると思う。

「猫には言葉は通じないし、人間の理屈もわからない。ぼくのやり方ひとつで、生活のルールや習慣を覚えてくれる。子育ての予行演習に近いものがあると思っています」

AERA 2015年1月19日号より抜粋