「アートコーラル銀座」に展示されている非売品の赤サンゴの原木。深い赤色が輝きを放っている(撮影/編集部・野嶋剛)
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「アートコーラル銀座」に展示されている非売品の赤サンゴの原木。深い赤色が輝きを放っている(撮影/編集部・野嶋剛)
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 中国漁船が大挙したことで注目を浴びた「赤サンゴ」。実際の所、どのくらい高価なものなのか。

 小笠原、伊豆両諸島近海からようやく、一時数百隻に達した中国の大漁船団が去りつつある。中国政府が取り締まりに本腰を入れたこともあるのだろう。他人の海に勝手に入って資源を取ることは不愉快きわまりないのだが、同時に、この問題で多くの日本人の脳裏には一つの疑問が浮かんだはずだ。

「赤サンゴってそんな儲かるの?」

 私の知人で台湾華僑の女性に尋ねられた。

「母の形見で、赤サンゴのネックレスがあるの。値段、分からないかしら。30年前に買った時は20万円ぐらいらしいけど、50万円ぐらいになってくれてたらうれしいわ」

 ちょうど取材の予定があったので、ネックレスを預かって、宝石サンゴを販売する「アートコーラル銀座」を訪れた。そのネックレスを見せると、ベテラン店長の目が輝いた。

「いいもの持ってらっしゃいますね。200万、いや300万ぐらいにはなります」

 目が点になった。実際、私のように手元の赤サンゴの評価をしてほしい、という問い合わせが殺到しているという。

 日本でも赤サンゴは以前は人気があったが、最近は若い世代には好まれず、タンスの宝石箱に入れっぱなしの家庭も多い。中国漁船の問題で、赤サンゴの高騰を初めて知った日本人は多かったに違いない。

 サンゴはピンクや白などもあるが、値段が高いのは赤サンゴ。なかでも赤に深みのある「血赤サンゴ」(オックス・ブラッド)と呼ばれるものは、価格が中国などで高騰し、桁外れの高値の取引が行われている。

AERA 2014年12月15日号より抜粋