華やかなバブルを経験した世代が、今、自身の老後問題に頭を悩ませている。
日本人の平均寿命は男性80.21 歳、女性86.61歳。内閣府の「高齢社会白書」(2012年版)によれば、その後も伸び続け、2040年には男性82.82歳、女性89.55歳と推定されている。十分な貯蓄がなければ長生きは大きなリスクとなる。
企画会社の契約社員の女性(47)が、老後不安を感じたのは3年前。母親(83)が脳梗塞で倒れ入院した時だ。病院では、退院が決まると顔がどんよりしてくる老人たちを何人も見た。食堂で「退院するより、死んじゃいたい」と口走る人もいた。みな独居老人だ。
「サロンのような病院を退院すると、ひとりぼっちになる。着替えを持ってくる親族がいない人たちは業者に申し込んだピンク色のパジャマを着ていた。結婚せず子どももいない私もピンクのパジャマコースなんだと、強烈に目に焼き付きました」
周囲の年上の友人たちから、将来の不安を愚痴られることも増えた。つい先日、10歳上の独身女性が両親を立て続けに亡くした。この友人自身も乳がんが発覚し、治療しながら看病したと聞いた。
「結局、自分が健康でないと、親の介護もできないし、自分の生活も守れないんですよね」
※AERA 2014年12月15日号より抜粋