今の会社に居続けることに希望が見いだせなければ、転職や独立、起業が選択肢となるが、そこで必要とされるのは、他社や他業界に通用するスキル。アンケートでは、そうしたスキルを「持っている」と答えたのは8割以上。その多くが「スキルは70歳まで働く上で有利」と自信を持っていた。

 ただし、前出の片山さんは、「身につけたスキルも、陳腐化することがあるので気をつけて」

 陳腐化を防ぎ、長く使えるようにするには、「学び直し」が有効だと指摘する。

 機械メーカーの法務部門で働く男性(48)は28歳と39歳で転職を経験し、契約やM&Aなど企業法務のプロフェッショナルとしてスキルを身につけてきた。しかし今、経験から学んだ知識や情報を「学び直し」によって、体系化したいと願っている。

「社会人大学で、知識の棚卸しをしたい。これまで身につけたスキルを別の角度から整理してみるとか、俯瞰してみることができれば、会社に戻った時に、いいものを返せると思うんですよ。でも、今の会社ではなかなかそれは許されない」

 学び続けることの重要性については、今回のアンケートでも、40代が強く意識しているという結果が出た。「70
歳まで働くのに必要なこと」という質問で、断然トップにあげられたのだ。

 今回の調査では、SNSでつながっている人数についても尋ねたが、その人数が多いほど、「生涯働きたい」と考える割合が高い、という結果が出た。

●自分はユルかった

 岐阜県のアパレルメーカーで経理を担当する女性(44)は、フェイスブックで200人近い人とつながっている。1泊2日の女性営業職研修で、全国から集まった女性50人と知り合い、そこから一気に輪が広がった。

「ずっと経理の仕事をしてきましたが、バリバリの営業職や女性経営者など普段と全く違う世界の人たちと知り合った。自分で営業しない限り仕事は取れない、という厳しい環境の中で頑張ってる人たちの話を聞いて、自分はユルかった、今いる会社の中でちっちゃく生きていてはダメだと反省したんです」

 女性は、カフェを経営するという自分の夢を持つようになった。単に「開けたらいいなあ」という抽象的な夢ではなく「70歳、80歳になるまで経営者として関わり、人を育て、人を動かしたい」と意気込む。具体的な事業計画を立て始めると、今の仕事に向き合うスタンスも「学べることはすべて学ぶ」というふうに変わったと話す。

「ライフキャリアビジョン」を持つことの重要性を語る前出の野津さんは、こうエールを送る。

「働くのは生活費のためで、満員電車に乗って通勤して、会社から言われたことをやる、という概念は捨てましょう。これからは企業の形態も変わり、プロジェクト単位で仕事をしたり、ネットを使って、どこでも仕事をするというスタイルも増えていく。社会と自分のつながりが強い人ほど、情報は入ってくるし、発信もできる。いつまで働くか、年齢で仕切ること自体がナンセンスな時代がやってくる」

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