会議中の掛谷悟史さん(左)。スクエアは、モバイル端末に装着するカード決済機器の開発販売会社(撮影/編集部・塩月由香)
<br />
会議中の掛谷悟史さん(左)。スクエアは、モバイル端末に装着するカード決済機器の開発販売会社(撮影/編集部・塩月由香)

 在宅勤務を支えるツールとして、ロボットが登場した。使い心地はどんなものなのだろうか。

オフィスの片隅に置かれた奇妙な機械が、おもむろにゴトゴトと動き始めた。高さ約1.6メートル。足元にはふたつのタイヤが、上部には17インチの液晶モニターがついていて、在宅勤務中の掛谷悟史さん(32)の顔が映し出されている。操作しているのも、自宅にいる掛谷さんだ。

これは、米スータブル・テクノロジーズ社が開発した「ビーム」と呼ばれるロボット。東京・表参道のスクエア日本法人は昨年6月に1台導入した。1カ月のリース料は6万円ほど。米本社にも8台あって、ウェブから空いている個体にログインすれば、そこにいるかのような視界と音声を得ることができる。

 ロボットになった「掛谷さん」は机の合間をすり抜けながら、すれ違いざまに同僚とあいさつを交わし、「どこに座ればいいですか?」などと周囲に話しかけながら会議室に入っていった。見た目は機械だが存在感は「人」。在宅勤務の最先端だ。

 掛谷さんは、今回が初めての利用だというが、「ウェブ会議システムを使ってミーティングだけに参加するよりも、いろいろな人とのコンタクトポイントが増えて便利。社内の雰囲気も分かる」と戸惑いはない。

記者も1台のロボットにログインして、スクエアのアメリカ本社に「出社」してみた。正面と足元の2カ所に付いた広角カメラのおかげで視界は良好。360度回転、早歩きといった動作もゲーム感覚ででき、現地社員と会話もできた。

別のiPad装着式代理ロボットを国内で販売するブルレーによると、すでにメーカーや商社、教育・医療機関など数十社がこうしたロボットを導入済み。価格は1台約35万円だという。

AERA  2014年10月6日号より抜粋