妄想グルメさん(46)『YouTubeは僕たち家族の日常をお金に換えてくれました 「動画投稿」という生き方・働き方』(徳間書店)の著書もある。動画制作は、妻の里惠子さん(左)との共同作業だ(撮影/高井正彦)
妄想グルメさん(46)
『YouTubeは僕たち家族の日常をお金に換えてくれました 「動画投稿」という生き方・働き方』(徳間書店)の著書もある。動画制作は、妻の里惠子さん(左)との共同作業だ(撮影/高井正彦)
「かわいすぎて食べられない」のコメントが殺到した「いちごマン」(撮影/高井正彦)
「かわいすぎて食べられない」のコメントが殺到した「いちごマン」(撮影/高井正彦)

 動画投稿サイト「ユーチューブ」での発信を職業とする人「ユーチューバー」。中にはユーチューバーとして5人家族の暮らしを支えている人もいる。一体どんな方法で、収入を手にしているのか。

 まず、投稿した動画が「見られるだけでお金をもらえる」のはなぜか?ユーチューブを再生すると画面上に広告が流れるのをご存じだろうか。これがユーチューバーの収入源だ。

 広告には(1)動画本編の直前に表示される広告、(2)動画の外側に表示されるバナー広告、(3)動画下側に表示される広告――と大きく3通りある。

 広告はYouTubeパートナープログラムに参加し、ユーチューブに動画をアップすると自動的に入るようになっている。そして、その再生回数に応じて広告報酬がもらえる。ちなみにYouTubeパートナープログラムには、同社のコミュニティーガイドラインを順守すれば誰でもアカウントを取得し参加できる。

 報酬は、「動画再生回数と広告単価」で決まる。つまり動画の再生回数が多ければ多いほど支払われる額は多くなる。しかも、広告がつき始めると、基本的に「半永久的」に課金されるという。気になる単価は非公表で、「再生回数1回につき0.1円」とする「都市伝説」もあるが、グーグルはこれを否定し、

「一回の再生でいくら課金されるかは、一概にはいえない。システムが自動的に計算している」(グーグル)

 ITに詳しい専門家は、「日本では動画投稿だけで食べていけるのはまだ一握り」と話すが、家族5人の暮らしを動画投稿だけで立てている人もいる。「妄想グルメ」こと伊藤元亮(もとあき)さん(46)だ。

 もともと普通の会社員。大学を卒業すると大手文具メーカーに就職。しかし、バブルが崩壊し会社が45歳の早期退職者を募集した。その時、10年後は確実に自分が対象になる、今までの仕事人間から家庭に軸足を移したい――。そう思い、35歳で会社を退職、自営業で室内緑化ビジネスや古物商などを手がけてきた。並行して、アフィリエイトブログなども手がけ、その一環として2009年2月からユーチューブへの動画投稿を始めた。

 動画制作は子どもたちが手伝うこともあるが、基本的には妻の里惠子さん(45)との共同作業。たとえば、油揚げを「帽子」に見立てた「アニマル帽子のお稲荷さん」や、いちごとリンゴとチョコレートなどを使って作る「いちごマン」など……、ユニークでかわいい料理やお菓子作りの動画が多い。

 週2本のアップを目標に、これまで1200近い動画を投稿。チャンネル登録者は約48万人、総再生回数は約1億6千万回。収入も徐々に増えていき、2月に会社員時代の月収を超え、8月には過去最高になったという。

AERA 2014年10月13日号より抜粋