昨年3月に3方をテラスに囲まれたマンションを購入(撮影/写真部・岡田晃奈)
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昨年3月に3方をテラスに囲まれたマンションを購入(撮影/写真部・岡田晃奈)
スーツはオーダーメードで1着13万~15万円(撮影/写真部・岡田晃奈)
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スーツはオーダーメードで1着13万~15万円(撮影/写真部・岡田晃奈)

 お金を貯めるのには様々な方法がある。夫婦の場合は、こんなチームワークで貯蓄に成功しているケースもあるようだ。

 夫婦で役割を分担し、二人三脚で貯めているのは、電機メーカーに勤務する男性(43)。彼の役割は貯める人。妻(40)が監査する人だ。

「1年間に300万円貯めることを妻と約束しています。すべては結果重視。夫婦で旅行に行ったから300万円に届かなかった、はあり得ない。任されている分、私もハチャメチャなことはできません」

 彼の貯めコツはまず、「毎月10万円を無条件に定期預金にすること」と言う。

「始めたのは3年くらい前から。ローンのようなイメージで意志を持って積み立てています。手元にお金があるとすぐ使ってしまうので、残金を貯蓄に回そうと思ってもうまくいかない。やはり最初に貯蓄すると貯めやすい。『金持ち父さん 貧乏父さん』を読んで影響を受けました」

 お金が入ったらまず貯めることが、やっぱり基本なのだ。夫婦の貯蓄の目的は老後の生活資金だ。それぞれが好きな事業を始められたら、という夢がある。当座の目標は60歳で5千万円。

 年収は夫婦で大体1800万円。家計管理は夫の口座に妻の給料を合算し、そこから2人の支出を引き出していく。妻から「使った分の証拠が残るように」と言われ、支払いはクレジットカード払いが基本だ。妻は夫のカードの家族会員になっている。

「現金だと使途不明金が出やすい。また、我が家は特に家計簿をつけていませんが、カード決済ならすべての明細が出てくるので家計簿をつけなくても支出管理ができます」と、夫は言う。

 だが、彼にとって貯めるための何より強力な力は、「妻の監査」だ。彼女は職場で監査の仕事をしていたこともあって、細かな数字も見逃さない。夫は、

「いつ監査されてもいいように日頃から心がけています」

 監査は抜き打ちで突然やってくる。いつ、どんなタイミングで監査するかは、「手のうちを見せてしまうことになる」(妻)ため非公開。だが、チェックポイントを尋ねると、交際費が一番の目の付けどころらしい。無駄なお金を削るには、目安となる金額を決めるのがカギで、飲み代なら月2万円だ。

 取材時にたまたま出してもらったウェブ明細を見始めると、妻が一瞬「アッ」と声を上げた。緊張が走る。だが、すぐに夫が会社の飲み会費を立て替えたことを思い出して、不穏な空気は消え去った。

AERA 2014年9月22日号より抜粋