就活で大きな要素でもある学歴。雇用ジャーナリストの海老原嗣生さんは、この学歴には「スクリーニング」の側面が強いと話す。程度の能力などが想定できる反面、ひとくくりにもできない、近年の学歴の状況についても話した。

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 就職情報サイトの登場で、学歴が「スクリーニング」に使われる傾向が強まりました。誰でも簡単に接触できるため、万単位の学生が殺到する。全員と面接することは不可能なので、まず学歴をみます。

 難関大学に入るには、(1)地頭がいい(2)頭はそこそこだが要領がよく点が取れる(3)継続的に勉強し続けられる、このうちどれかが必要です。いずれか一つあれば、企業でもそれなりの戦力になれる。加えて、組織でうまくやっていくには、上下関係を守り、人を嫌わず人に嫌われないこと。体力があること。こちらは運動部出身の能力です。

 これらの能力を持つ人を高い確率で集めるのに「学歴」は適しています。もちろん、わからない部分は面接でみます。

 たとえば、東京大学卒にも3タイプいます。小中高でずっと1番で学級委員もやり、クラスを統率してきたリーダータイプ。次に、小学校で1番でも、難関校に入り自分より頭のいい人がいるとわかったタイプ。最後が、趣味は受験勉強で部活も恋愛もせず勉強だけしてきて、余力がないタイプ。漫画『ドラゴン桜』のように必死で勉強すれば、少子化で昔よりも敷居の下がった今の東大なら入れる。そんな「なんちゃって東大」の人です。ひとくくりにできない。

AERA  2014年6月16日号より抜粋