引き受けてくれる人がいなかったり、協力体制が整わなかったり……学校でのPTAの仕事には、問題も多い。そんな中、仕事を事業仕分けすることで成功した例がある。

 東京都大田区にある雪谷小学校のPTAメンバーは、リーダー的な存在の会長が、子どもの保育園時代のママ友からえり抜きの“敏腕仕事人”を集めた。いわばドリームチームだった。

 副会長は、大手コンサルティング会社で管理職を務める片山夕紀子さん(40)。改革を始めるにあたり、まず各委員長にヒアリングをして活動内容を書きおこした。一人ひとりの書類作成やパソコンのスキル、通信環境は大きく違う。平日の昼しか連絡不可という人も。ここで「できない」と言われないよう、相手に合わせて作業を続けた。

 完成した資料は、A4判で14ページ。定例会日程、前年の実績を通年で見られる表などにまとめて全保護者に配布した。

 これをもとに業務削減や組織変更などの改革案を作成。必ず出てくる反対意見に備えて、まずは全保護者への意識調査を実施。寄せられた不安の声をオープンにして、会長名で丁寧に返答した。さらに委員長や学級代表には改革案に関する会議を3回開いて、なかなか出てこない不満を聞き取る機会を設けた。「みんなが賛成した」という共通認識作りに努めた。

「働くママのスピード感ある作業、そして専業主婦の甚大なマンパワー。違う立場の母親同士が、子どものために歩み寄りながら協力して進めたことで、成功した改革です」(片山さん)

AERA 2014年5月26日号より抜粋

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