近年、仕事で求められるシーンも増えた英語力。なかには、採用に際して必須となる企業もある。
国内IT企業でマーケティングを担当していた男性(34)は、昨年秋から転職活動をしていた。応募企業の中に楽天もあった。選考は順調に進んでいったが、ネックとなったのがビジネス英語の実力を測るTOEICスコアだ。同社の新卒・中途採用で入社時までに必要とされるのは800点。数週間の猶予を与えられ、「毎週開催しているIP試験(団体特別受験)を何度受けてもらっても構わない。800点をクリアしたら内定を出す」旨を伝えられた。
それまで英語と無関係の仕事をしてきた男性が持っていたTOEICスコアは、大学時代に受けた620点。短期間で800点に到達するのは困難と考え、楽天を候補から外し他社に転職を決めた。
4月3日、TOEICを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会が発表した2013年度の受験者数は236万1千人。長らく英語資格試験のトップに君臨していた英検の受験者数235万5718人(13年度)を超えた。TOEICスコアが就職、転職時、さらに人事評価や昇格要件としての英語力の指標となって久しい。楽天の例だけでなく、定められたTOEICスコアを持っていないことが将来の選択肢を狭めることにもなり得る。
楽天銀行をはじめ企業、大学などでTOEICセミナーの講師を務める濵﨑潤之輔さんは言う。
「ビジネスマンとして最低限取得しておきたいのが600点。海外赴任などを視野に入れる場合は730点は欲しいです」
※AERA 2014年4月28日号より抜粋