都心の高級住宅地に住み、外国車に乗り、子どもを私立に通わせ、ブランド品に身を包んで豪華なランチを楽しむ――。首都圏ではこんな生活を送っている人もいる。だが、こんな専業主婦の暮らしぶりで、家計は破綻しないのか。

「夫の年収が1千万円くらいだと、すぐに家計は厳しくなるはずです」

 と言うのは、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さんだ。高級住宅地では食料品を買うスーパーの価格水準も高め。子どもをブランド校に通わせると、子ども服から弁当箱まで「ちょっと高めのもの」で揃えることになり、贅沢が「固定費化」してしまう。さらに最近は、「服装だけでなくライフスタイル全般をセレブに見せたいという人が目立ちます」(花輪さん)

 ホームパーティー、クルージング、豪華な手料理ブログ……。マーケティングライターの牛窪恵さんは、「セレブは経験則を見ている」と指摘する。海外旅行は定番のニューヨークやミラノではなく、割高でもドバイの洞窟などの秘境を訪れてこそ自慢できるというのだ。

 全方位に見えを張って家計が破綻しないよう、「見せたいセレブポイント」を絞ることが重要だ。服装よりも時計やバッグなどの小物が見られている。マネー評論家の新田ヒカルさんは、フェイスブックなどでのアピールを重視。「性能の良いカメラは必携」と言う。

 ママ友と5千円のランチを優雅に楽しむ主婦もいるが、それ以外の日は質素にすれば、サラリーマンが週5日千円ランチを食べるのと同じ計算だ。

「主婦は手料理を持ち寄ってホームパーティーをしたり、友達にネイルを教える代わりにハワイアンキルトを教わったりと、交際費をかけずに楽しむ方法を心得ている。震災後、セレブの志向はエコにシフトし、家庭菜園で採れたハーブでも喜ばれるようになってきています」(牛窪さん)

AERA  2014年4月7日号より抜粋